腰痛, 膝痛

薬を何種類も飲むと腰痛・膝痛は治りにくい?

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薬を何種類も飲むと腰痛・膝痛は治りにくい?

「腰の薬、血圧の薬、胃薬、コレステロールの薬……気づけば毎日何種類も飲んでいる」

「病院でもらっている薬だから必要なのは分かっているけれど、こんなに飲み続けて身体は大丈夫なのだろうか」

「腰痛や膝痛の薬を飲めば一時的には楽になる。でも、なかなか良くならないのは薬を飲み過ぎていることも関係しているの?」

このような不安を感じている方は少なくありません。

投稿をご覧頂きありがとうございます。大分駅前整体院の河野です。今回は「薬を何種類も飲むと腰痛・膝痛は治りにくい?」という内容になります。

腰痛や膝痛が長引いている方のお話を伺っていると、痛み止めだけでなく、血圧や脂質、胃腸、睡眠など、複数の薬を毎日服用しているケースがあります。

ただし、最初にお伝えしておきたいのは、「薬を何種類も飲んでいるから腰痛や膝痛が治らない」という単純な話ではないということです。

病気を管理するために必要な薬もありますし、医師から処方された薬を自己判断で減らしたり中止したりすることは避けなければなりません。

一方で、これまでの研究では、薬の種類が多い人ほど歩く力や日常生活の動作など、身体機能が低い傾向にあることが報告されています。

また、身体を動かす量が減ると、筋肉量だけでなく、筋肉がエネルギーをつくる力も低下しやすくなることが分かっています。

つまり考えたいのは、薬そのものが良いか悪いかではありません。

薬を何種類も必要としている身体の状態に、身体機能低下や運動不足、筋力低下、代謝能力の低下などが重なっていないか。

腰痛や膝痛がなかなか改善しない場合には、痛い場所だけを見るのではなく、このように少し広い視点から身体の状態を確認することが大切です。

今回は、多剤併用と身体機能、代謝能力との関係をできるだけ分かりやすく整理しながら、なぜ慢性的な腰痛や膝痛では「施術を受けても戻りやすい」「薬を飲んでもまた痛くなる」という状態が続くことがあるのかを考えていきます。

1.薬が増えている人ほど身体機能が落ちていることがある

複数の薬を服用する女性と、立つ・歩く・階段を上る身体機能の関係を示したイラスト

薬の種類が多い人では身体機能が低い傾向も報告されていますが、薬だけが原因とは限りません。

研究では歩く力や日常生活動作との関係が確認されています

これまでの研究では、複数の薬を飲んでいる人ほど、歩く力や移動する力、日常生活を行う力などが低い傾向にあることが報告されています。

たとえば、いくつもの研究をまとめて確認した報告では、薬の種類が多い人ほど身体機能が低い傾向が多くの研究でみられています。

ここでいう身体機能とは、単に「筋力が弱い」というだけではありません。

立ち上がる、歩く、階段を上る、買い物へ行く、家事をするなど、自分の身体を使って生活する力全体のことです。

ただし、この結果を見て「薬が多いから身体機能が落ちた」と考えるのは早すぎます。

持病が多いことで薬が増えている場合もあれば、もともと身体機能が落ちていることで健康上の問題が増え、結果的に薬が増えている場合もあります。

つまり、薬の数と身体機能には関係がみられるものの、その関係は一方向ではありません。

だからこそ大切なのは、薬の数だけを気にすることではなく、「薬が増えている間に、身体を使う力まで落ちていないか」を確認することです。

腰痛や膝痛がある方では、ここを見落とすと、痛みの原因をずっと腰や膝だけに求めてしまうことがあります。

2.問題は薬の数よりも「動ける身体」が失われること

腰痛や膝痛が続き、歩行や家事、階段など日常生活の活動量が減っていく変化を示したイラスト

痛みが続くと歩く量や家事、階段を使う機会が減り、知らないうちに活動量が低下することがあります。

腰痛や膝痛が長く続いている方ほど、いつの間にか日常生活で動く量が減っていることがあります。

「膝が痛いから階段を使わなくなった」
「腰がつらいから休みの日は座っていることが増えた」
「以前より買い物へ行く回数が減った」
「歩くのが不安で車移動ばかりになった」

こうした行動は、痛みがあると自然に起こるものです。ですが、それが数週間、数か月と続いていくと、身体に必要な刺激そのものが減っていきます。

動かないと落ちるのは筋力だけではありません

多くの方は「運動不足になると筋肉が落ちる」と考えます。もちろん、それも間違いではありません。

しかし、身体を動かさなくなることで変化するのは、筋肉の量だけではありません。

研究では、身体を使う量が減ることで、筋肉の中にあるミトコンドリアの量や働きが低下しやすくなり、エネルギーをつくる力も落ちていくことが報告されています。

難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、「身体を動かさない期間が続くと、筋肉そのものだけでなく、筋肉が働き続けるためのエネルギーをつくる力まで落ちやすくなるということです。

腰痛や膝痛を考えるうえでは、この部分が非常に重要です。なぜなら、痛みがあることで動かなくなり、動かなくなったことでさらに身体が疲れやすくなると、ますます身体を使わなくなるからです。

3.代謝能力が落ちると同じ生活でも疲れやすくなる

骨格筋のミトコンドリアがATPを産生し、歩行や立位など身体を動かすエネルギーに関わる仕組みの図

身体を動かすためのエネルギー産生には、骨格筋にあるミトコンドリアの働きが関係しています。

「代謝が落ちる」とは太りやすいという意味だけではありません

代謝という言葉を聞くと、「太りやすい」「痩せにくい」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、ここでいう代謝能力とは少し意味が違います。

私たちが立つ、歩く、階段を上る、物を持つといった動作をするときには、筋肉がエネルギーを使っています。そのエネルギーをつくるうえで重要な役割を持っているのが、筋肉の中にあるミトコンドリアです。

身体をよく動かしている人では、日常生活の中で筋肉に刺激が入り続けます。一方で、痛みや運動不足によって身体を使わない期間が続くと、筋肉がエネルギーをつくる能力も低下しやすくなります。

つまり、同じ30分の買い物でも、以前は余裕でできていたのに、今は途中から腰が重くなったり、脚が疲れたりすることがあります。

それは必ずしも「腰が急に悪くなった」「膝の関節だけが悪化した」という話ではありません。

以前より身体全体に余力がなくなり、同じ動作でも負担が大きく感じられている可能性があるのです。

「朝はまだ動けるけれど、夕方になると腰がつらい」
「少し歩いただけで脚が重くなる」
「以前より家事をすると疲れる」

こうした変化がある場合、痛い場所だけでなく、身体全体の持久力や活動量まで見ていく必要があります。

4.なぜ代謝能力の低下が慢性痛の治りにくさにつながるのか

腰痛や膝痛から活動量と身体機能が低下し、同じ生活でも負担を感じやすくなる悪循環を示した図

痛いから動かない状態が続くと身体機能や余力が低下し、さらに日常動作を負担に感じる悪循環につながることがあります。

ここで、「代謝が落ちると、なぜ腰痛や膝痛が治りにくくなるの?」という疑問が出てくると思います。

この点については、代謝能力が落ちたことだけで慢性痛が治らなくなる、と直接証明されているわけではありません。ただし、身体機能と活動量を間に入れて考えると、とても分かりやすくなります。

痛いから動かない、動かないからさらに動けなくなる

腰や膝が痛いと、まず身体を動かす量が減ります。身体を動かさなくなると、筋力や持久力が低下します。さらに、筋肉がエネルギーをつくるための刺激も減っていきます。

すると、以前なら余裕を持ってできていた立ち仕事や歩行でも、身体への負担が大きく感じられるようになります。

その結果、

痛いから動かない
→ 身体機能が落ちる
→ 身体を動かすための余力が小さくなる
→ 同じ生活動作でも疲れやすくなる
→ また痛みや疲労を避けて動かなくなる

という流れに入りやすくなります。

慢性腰痛については、身体に合った運動を行うことで痛みや身体機能の改善が期待できることも、多くの研究で確認されています。

つまり、慢性痛の場合は「痛みがあるから休む」だけではなく、今の身体に合った範囲で、もう一度動ける状態をつくっていくことが大切なのです。

長く痛みが続いている方ほど、「痛い場所を何とかする」だけではなく、「身体全体をどこまで使える状態に戻せるか」という視点が必要になります。

5.施術を受けても数日で戻る人に考えたいこと

整体施術後に動きやすくなっても、活動量の少ない生活に戻ると再び腰や膝がつらくなる流れを示した図

施術で動きやすくなった身体を日常生活の中で無理なく使っていくことも、身体機能を保つためには大切です。

「整体へ行った日は楽になる」
「施術を受けた後は腰が軽い」
「でも仕事や家事をすると、また数日で元に戻る」

慢性腰痛や膝痛がある方からよく聞く悩みです。このような場合、「施術が効いていない」とは限りません。

施術によって関節や筋肉の動きが改善し、その場では身体を動かしやすくなっていても、普段の生活に戻ったときに、その状態を維持できるだけの身体機能が不足していることがあります。

たとえば、股関節の動きが良くなって腰への負担が減っても、一日のほとんどを座って過ごしていれば、また身体の動きは小さくなりやすくなります。

膝が動きやすくなっても、痛みが怖くて歩く量を極端に減らしたままでは、脚全体の筋力や持久力を取り戻す機会がありません。

さらに活動量が低い状態が続けば、筋肉がエネルギーをつくる力も低下しやすくなります。

そのため、施術によって「動きやすい状態」をつくることと、その状態を日常生活の中で「使える身体」に戻していくことは別の課題です。

ここが抜けたままだと、

「施術を受けると楽になる」
「でもまた元に戻る」
「また施術を受ける」

という繰り返しになりやすくなります。

施術の効果を長く保つためには、ただ施術回数を増やすのではなく、施術後の身体を実際の生活の中でどう使えるようにしていくかまで考えることが大切です。

6.薬を減らすより先に確認したい身体の状態

薬を自己判断で減らす前に、歩行距離や立位時間、外出回数、関節の動き、疲れやすさを確認する図

薬のことは医師や薬剤師へ相談しながら、歩く・立つ・外出するなど現在の身体機能も確認しましょう。

ここまで読むと、「それなら薬を減らした方がいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、それはこの記事でお伝えしたいことではありません。

血圧や糖尿病、心疾患、脂質異常症など、身体を守るために必要な薬もあります。処方されている薬を自己判断で減らしたり、中止したりすることは避けてください。

薬の種類や副作用、飲み合わせについて気になる場合には、処方した医師や薬剤師へ相談することが基本です。

見直したいのは「薬」ではなく現在の身体機能

腰痛や膝痛の改善という点で確認したいのは、薬の数そのものよりも、今の身体が以前と比べてどう変わっているかです。

以前より歩ける距離が短くなっていないか。

立っていられる時間が短くなっていないか。

外出する回数が減っていないか。

階段を避けるようになっていないか。

股関節や足首の動きが小さくなっていないか。

以前より疲れやすくなっていないか。

こうした変化が重なっている場合、薬の数だけを見るよりも、身体そのものの機能が落ちていないかを確認する方が慢性痛の改善には重要です。

薬を飲みながら症状を管理していても、身体機能を取り戻すことはできます。

つまり必要なのは、薬をやめることではなく、薬で症状を管理している間に身体まで使わなくならないこと。ここを分けて考えることが大切です。

7.腰痛・膝痛が治りにくい方は「身体の余力」まで確認を

慢性腰痛や膝痛で背中・腰、股関節、膝、足首、活動量と身体の余力を全身から確認するイラスト

腰痛や膝痛が長引くときは、痛い場所だけでなく全身の動きや活動量、身体の余力まで確認することが大切です。

何種類もの薬を飲みながら、腰痛や膝痛も長く続いている。

痛み止めを飲めば少し楽になるけれど、薬が切れるとまたつらくなる。

整体やマッサージを受けると一時的には楽になるのに、仕事や家事をするとまた元に戻ってしまう。

このような場合、痛みが出ている腰や膝だけを見ていても、なかなか答えが見つからないことがあります。大切なのは、「どこが痛いのか」だけでなく、「今の身体はどのくらい動けるのか」という視点です。

慢性的な痛みによって活動量が減れば、筋力や持久力だけでなく、身体を動かすためのエネルギーを生み出す力も落ちやすくなります。すると、以前と同じ30分の買い物、同じ家事、同じ仕事でも身体にとっては大きな負担になります。

そこで痛みが出る。

痛いから、また動かなくなる。

さらに身体の余力が小さくなる。

慢性痛が長引いている方では、この循環から抜け出せなくなっていないかを確認することが大切です。

大分駅前整体院では、腰痛であれば腰だけ、膝痛であれば膝だけを見るのではなく、股関節や足首、骨盤、背中など身体全体の動きと、普段どのくらい身体を使えているかまで確認していきます。

施術によって関節や身体を動かしやすくすることはもちろん大切です。

しかし、それだけで終わるのではなく、施術でつくった「動きやすい状態」を日常生活の中で使える身体へつなげていくことも、慢性的な痛みから抜け出すためには欠かせません。

多剤併用と身体機能低下に関する研究も、身体活動とミトコンドリア機能に関する研究も、「薬を飲んではいけない」と伝えているものではありません。

そこから考えたいのは、薬を飲みながら症状を管理している間に、身体を使う能力まで低下していないかということです。

何種類もの薬を飲んでいて「こんなに飲んでいて大丈夫なのかな」と不安を感じている方は、薬についてはまず医師や薬剤師へ相談してください。

そのうえで、腰痛や膝痛が何か月も続いている、以前より歩かなくなった、すぐ疲れるようになった、施術を受けてもすぐ戻ると感じているのであれば、痛い場所だけでなく、身体機能や日常生活での活動量まで一度見直してみることをおすすめします。

「年齢だから仕方がない」
「薬を飲んでいるから仕方がない」

と決めつける前に、今の身体に何が足りなくなっているのかを確認することが、これ以上動きにくくなる前の第一歩になります。

執筆者

  • 慢性症状専門の整体師 河野貴彦
  • 柔道整復師免許証

慢性症状専門の整体師 河野貴彦

東京・神奈川・大分で7年間整骨院にて研修して、延べ23755人の施術実績。研修時代から慢性症状の改善に力を注ぎ、整形外科や整骨院に通っても症状の改善しない方の力になりたいという思いから大分駅前整体院を立ち上げる。

経歴
2012年3月 日体柔整専門学校 卒業
2012年4月 柔道整復師免許 取得
2018年4月 大分駅前整体院 開業