腰痛

運動不足で腰痛が続く理由|身体の余力との関係

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運動不足で腰痛が続く理由|身体の余力との関係

「腰が痛いから、なるべく動かないようにしている」「以前より歩くことが減った」「仕事以外ではほとんど運動していない」

慢性的な腰痛に悩んでいる方のお話を聞くと、このような生活になっていることは珍しくありません。

投稿をご覧頂きありがとうございます。大分駅前整体院の河野です。今回は「運動不足で腰痛が続く理由|身体の余力との関係」という内容になります。

運動不足と腰痛の関係というと、「筋力が落ちるから腰に負担がかかる」と説明されることが多いと思います。もちろん筋力も大切ですが、実はそれだけではありません。

今回注目したいのが、身体がエネルギーを作り、それを利用して動き続ける能力です。

運動量が少ない状態が続くと、筋肉を動かす機会が減るだけでなく、筋肉の中でエネルギーを作るミトコンドリアへの刺激も少なくなります。その結果、身体を動かすためのエネルギー産生・利用能力や持久力が低下し、以前なら何でもなかった家事や仕事、歩行でも疲れやすくなっていきます。

すると、

運動不足
→ エネルギーを作って使う能力が低下する
→ 日常生活で使える身体的な余力が小さくなる
→ 同じ動作でも身体への負担が相対的に大きくなる
→ 疲れやすくなる
→ さらに活動量が減る
→ 慢性的な痛みが続きやすくなる

という悪循環に入りやすくなります。

今回は、「運動不足の人ほど腰痛などの慢性痛に悩みやすいのはなぜなのか」を、運動とミトコンドリア、身体のエネルギー産生という視点から詳しく解説します。

1.運動不足と腰痛は「筋力低下」だけで考えない

運動不足による筋力低下だけでなく、持久力やエネルギーを作る力、身体の余力の低下と腰への負担の関係を示した図

運動不足では筋力だけでなく、持久力やエネルギーを作る力など、日常生活を動き続けるための身体の余力も低下しやすくなります。

運動不足が続くと筋力が低下するため、「筋肉が弱くなったから腰が痛い」と考える方は多いでしょう。

しかし、身体を動かすために必要なのは筋力だけではありません。

どれだけ筋肉があったとしても、その筋肉を繰り返し働かせるためにはエネルギーが必要です。立つ、歩く、階段を上る、買い物へ行く、掃除をする、長時間仕事をするといった日常生活でも、筋肉は絶えずエネルギーを使っています。

そのため慢性痛を考えるときには、「どれだけ力を出せるか」だけではなく、「必要なエネルギーを作りながら、どれだけ動き続けられるか」という視点も重要になります。

例えば、以前なら30分歩いても平気だった人が、運動不足になって10分歩いただけで疲れるようになったとします。

同じ「10分歩く」という行動でも、身体に十分な余力がある人と、すでに余力が少なくなっている人では負担感が違います。

つまり運動不足では、単純に筋肉が弱くなるだけでなく、日常生活そのものに耐えられる身体の容量が小さくなっていくことが問題なのです。

2.身体を動かすエネルギーを作る「ミトコンドリア」とは

ウォーキングから骨格筋、筋細胞、ミトコンドリアへ拡大し、運動によるATP需要とエネルギー産生の関係を示した図

筋肉を動かすにはATPが必要です。運動によってエネルギー需要が高まることは、骨格筋やミトコンドリアが活動に適応していくための刺激にもなります。

ここで重要になるのがミトコンドリアです。

ミトコンドリアは筋肉の「エネルギー工場」

私たちが身体を動かすとき、筋肉ではATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる物質がエネルギーとして利用されています。

立ち上がるときも、歩くときも、姿勢を保っているときもATPが必要です。

そして、糖質や脂質などの栄養素を利用しながら、このATPを効率よく作り出すうえで中心的な役割を担っているのがミトコンドリアです。

そのためミトコンドリアは、一般向けには「細胞のエネルギー工場」と表現されることがあります。

特に骨格筋には多くのエネルギーが必要になるため、ミトコンドリアの量や働きは、筋肉が長時間活動する能力と深く関係しています。

運動すること自体がミトコンドリアへの刺激になる

身体を動かすと筋肉ではATPの需要が増えます。

すると筋肉内ではAMPKやCa²⁺などを含むさまざまなシグナルが働き、PGC-1αなどミトコンドリアの適応に関係する仕組みが活性化します。

つまり運動とは、単に「その場でカロリーを消費すること」ではありません。

身体に「これからもエネルギーを作る能力が必要ですよ」と知らせ、その能力を維持・向上させる刺激でもあるのです。

逆に、ほとんど身体を動かさない状態が続けば、この刺激を受ける機会も減っていきます。

3.運動不足が続くと「使える身体の余力」が小さくなる

身体の余力がある状態と運動不足で余力が小さくなった状態を比較し、同じ日常生活でも負担割合が変わることを示した図

身体の活動能力が低下すると、同じ家事や仕事、買い物、歩行でも身体に占める負担の割合が大きくなります。

ここで誤解してほしくないのは、「運動不足になると身体の中のエネルギーそのものがなくなる」という意味ではありません。

大切なのは、必要になったときにエネルギーを作り、それを使いながら活動を続ける能力です。

「代謝が落ちる」を正しく考える

一般的には「運動不足で代謝が落ちた」と表現しますが、代謝にはさまざまな意味があります。

今回問題にしているのは、単純な基礎代謝量や「1日に何kcal消費するか」だけではありません。

運動不足によって筋肉への刺激が少なくなると、ミトコンドリアの量や機能、筋肉の酸化能力、持久力などが低下しやすくなります。

その結果、

「身体を動かすために必要なエネルギーを効率よく作って利用し続ける能力が落ちる」

と考える方が正確です。

例えば、身体の活動能力が100ある人にとって30の家事は余裕があります。一方、活動能力が50まで落ちている人にとって同じ30の家事を行えば、それだけで大きな割合の能力を使うことになります。

実際の身体を数字で単純に表すことはできませんが、考え方としてはこれに近いものがあります。

体力やエネルギー産生能力が低下すると、同じ日常生活でも身体に占める負担の割合が大きくなる。

これが運動不足と慢性的な不調を考えるうえで非常に重要なポイントです。

4.同じ家事や仕事でも負担が大きく感じられる理由

朝の料理、昼の仕事、夕方の買い物、夜の家事を通して身体の余力が減り、疲労で身体の使い方が変化する様子を示した図

特別な運動をしていなくても身体は一日中活動しています。身体の余力が少ないと、家事や仕事を繰り返すだけでも疲労が蓄積しやすくなります。

「特別なことはしていないのに腰が疲れる」

慢性腰痛の方からよく聞く言葉です。

しかし、その「特別なことをしていない」というところにヒントがあります。

朝起きて身支度をする。車を運転する。仕事で座る。立つ。買い物へ行く。夕食を作る。洗濯物を片づける。

一つひとつは激しい運動ではありませんが、身体は一日を通して何度も筋肉を使っています。

身体的な余力が十分にあるときは、こうした負荷を受けても回復できます。

ところが運動不足によって持久力や身体活動能力が低下すると、日常生活だけでも疲労が蓄積しやすくなります。

すると姿勢を維持することが難しくなったり、本来は股関節や足首も使って行う動作を腰で補ったり、疲れて歩幅が小さくなったりすることがあります。

つまり、

日常動作そのものが急に悪い動作になったのではなく、それを繰り返し処理できる身体の余裕が少なくなっている場合がある

ということです。

慢性的な腰痛では、痛い場所だけではなく、こうした「一日を通して身体がどの程度の負荷に耐えられているか」まで考える必要があります。

5.「痛いから動かない」が慢性痛の悪循環を作ることもある

腰などの慢性痛から活動量低下、体力と持久力低下、疲れやすさ、さらに活動量が減る悪循環を示した図

痛みへの不安から動く量が減ると、体力や持久力が低下し、日常生活でも疲れやすくなって、さらに活動量が減る悪循環につながる場合があります。

腰が痛ければ、動かしたくないと思うのは当然です。

特に「動いたらもっと悪くなるのではないか」と不安になると、歩く距離を減らしたり、外出を控えたり、休日はほとんど座って過ごしたりするようになります。

急性期や強い症状がある場合には安静や医療機関での確認が必要なケースもあります。しかし、慢性的な腰痛で長期間必要以上に活動を避け続けると、別の問題が起こります。

痛い
→ 動かない
→ 体力・持久力が落ちる
→ 日常生活で疲れやすくなる
→ 動くことがさらに大変になる
→ もっと動かなくなる

という循環です。

慢性腰痛に対する運動療法については多くの研究があり、運動は痛みや身体機能の改善に役立つことが示されています。WHOの慢性一次性腰痛ガイドラインでも、教育やセルフケアとともに運動プログラムが推奨される選択肢に含まれています。

つまり慢性的な腰痛では、「痛い場所を休ませ続ければよい」という考え方だけでは不十分な場合があります。

身体を安全な範囲で使い、再び活動できる身体へ戻していくという視点も必要です。

6.慢性痛だからこそ「継続できる有酸素運動」が大切

慢性痛がある人が無理のないウォーキングから始め、段階的に身体を慣らして日常生活の余力を取り戻す流れを示した図

慢性痛がある方は、いきなり長時間運動するのではなく、今の体力や症状に合わせた有酸素運動を無理なく継続することが大切です。

では、ミトコンドリアを刺激するためには激しい運動をしなければならないのでしょうか。

その必要はありません。

持久系運動によって骨格筋ではミトコンドリアに関係する適応が起こることが知られており、継続的な有酸素運動は身体のエネルギー産生能力や持久力を高めていくうえで重要です。

大切なのは「一度頑張る」より「続けられること」

慢性痛がある方ほど、「運動しないといけない」と考えて、いきなり長時間歩いたり、痛みを我慢して運動したりすることがあります。

これはおすすめできません。

例えば普段ほとんど歩いていない方が、突然1時間ウォーキングをすれば、身体にとっては大きな負荷になります。

必要なのは、現在の身体能力を大幅に超える運動ではなく、今の身体で無理なく繰り返せる運動量から始めることです。

ウォーキングや自転車運動などの有酸素運動を、「終わった後に数日動けなくなるほど頑張る」のではなく、翌日も日常生活を送れる範囲から継続していく。

こうした積み重ねによって、筋肉は「エネルギーを作りながら動き続ける必要がある」と繰り返し刺激を受けます。

慢性痛の方にとって大切なのは、運動量を競うことではありません。

日常生活に必要な身体的な余力を少しずつ取り戻していくことです。

7.施術だけでなく「身体を使える状態」に戻していくことが大切

慢性痛に対して施術で身体を整えることと、有酸素運動で身体を使うことの両方を組み合わせる考え方を示した図

慢性痛では身体を整えるだけでなく、状態に合わせて適切に身体を使い、日常生活を動きやすくしていくことも大切です。

慢性的な腰痛があると、どうしても「腰のどこが悪いのか」「どこをほぐせばよいのか」という部分に目が向きやすくなります。

もちろん、関節の動きや筋肉の緊張、骨盤・股関節・足首など身体全体の連動を確認し、動きにくくなっている部分を整えることは大切です。

しかし、それだけで終わってしまってはいけません。

今回説明してきたように、

運動不足
→ 筋肉・ミトコンドリアへの刺激が減る
→ エネルギーを産生・利用しながら活動する能力が低下する
→ 身体的な余力が小さくなる
→ 同じ家事や仕事でも疲れやすくなる
→ 活動量がさらに減る
→ 慢性的な痛みが続きやすくなる

という流れも考える必要があります。

だからこそ当院では、慢性的な腰痛などで来院される方に対して、施術を受けることだけでなく、身体の状態に合わせて運動を続けることも大切だと普段からお伝えしています。

施術で身体を動かしやすい状態へ整えても、日常生活でほとんど身体を使わなければ、活動できる身体は十分には育っていきません。

反対に、身体が動かしにくい状態のまま「とにかく歩けばいい」と無理をすると、かえって腰や膝などに負担が集中する場合もあります。

必要なのは、「整えること」と「使うこと」の両方です。

痛みがあるから運動できないと諦めるのではなく、今の身体では何が負担になっているのかを確認し、そのうえで無理なく継続できる運動を少しずつ取り入れていく。

腰痛を何度も繰り返している方や、以前より疲れやすく歩く量が減っている方は、痛い腰だけではなく、「一日を通して動ける身体の余力が低下していないか」という視点からも一度身体を見直してみてください。

今よりも悪くなり、さらに動けなくなってしまう前に、身体を整えながら適切に動かしていくことが大切です。

執筆者

  • 慢性症状専門の整体師 河野貴彦
  • 柔道整復師免許証

慢性症状専門の整体師 河野貴彦

東京・神奈川・大分で7年間整骨院にて研修して、延べ23755人の施術実績。研修時代から慢性症状の改善に力を注ぎ、整形外科や整骨院に通っても症状の改善しない方の力になりたいという思いから大分駅前整体院を立ち上げる。

経歴
2012年3月 日体柔整専門学校 卒業
2012年4月 柔道整復師免許 取得
2018年4月 大分駅前整体院 開業