坐骨神経痛, 脊柱管狭窄症, 腰椎ヘルニア

坐骨神経痛でブロック注射が効かなかったのはなぜ?ヘルニア・脊柱管狭窄症で考えたいこと

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坐骨神経痛でブロック注射が効かなかったのはなぜ?ヘルニア・脊柱管狭窄症で考えたいこと

「坐骨神経痛がつらくて病院でブロック注射を受けたけれど、思ったほど変わらなかった」
「注射をした直後は少し楽だったけれど、しばらくするとまたお尻から足が痛くなってきた」
「腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と言われているから、注射が効かなければもう手術しかないのだろうか」

このような不安を抱えている方は少なくないのではないでしょうか?

投稿をご覧頂きありがとうございます。大分駅前整体院の河野です。今回は「坐骨神経痛でブロック注射が効かなかったのはなぜ?ヘルニア・脊柱管狭窄症で考えたいこと」という内容になります。

坐骨神経痛に対して行われるブロック注射には、神経周囲の炎症や痛みを抑えることで症状を軽減させる目的があります。実際、ブロック注射によって大きく症状が軽くなる方もいます。

一方で、すべての坐骨神経痛に同じような効果が出るわけではありません。特に腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症と、腰部脊柱管狭窄症による症状では、ブロック注射に期待できる効果にも違いがあります。

また、「注射が効かなかったから身体の歪みが原因」と単純に決めつけることもできません。

ただし、MRIに映っているヘルニアや脊柱管の狭さだけで現在の痛みや歩きにくさがすべて決まっているとは限らず、股関節や腰の動き、筋力、姿勢、歩き方などの身体機能を別の視点から確認することで、症状が軽くなる方がいるのも事実です。

今回は、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による坐骨神経痛でブロック注射をしたものの十分な効果を感じられなかった方に向けて、なぜそのようなことが起こるのか、そして次にどのような点を確認するとよいのかを分かりやすくお伝えします。

1.坐骨神経痛でブロック注射が効かないことはある?

坐骨神経痛のブロック注射は効果に個人差があり、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など原因によって反応が異なることを示した図

坐骨神経痛へのブロック注射は、症状が大きく軽減する人もいれば、変化が少ない人もいます。効かなかったからといって、もう改善しないとは限りません。

まず知っておいていただきたいのは、ブロック注射が十分に効かなかったからといって、特別珍しいことではないということです。

坐骨神経痛という言葉は病名そのものではなく、お尻から太もも、ふくらはぎ、足にかけて痛みやしびれなどが現れる状態を表します。その背景には、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根への刺激、腰部脊柱管狭窄症、椎間孔の狭窄など、さまざまな状態があります。

これまでに行われた多くの研究をまとめた報告では、腰から脚にかけての神経痛に対する硬膜外ステロイド注射は、3か月以内の短期的な痛みや機能障害を軽減する可能性があるとされています。一方で、6か月以上にわたって痛みを減らす効果については十分な証拠がありませんでした。

つまり、ブロック注射は決して意味のない治療ではありませんが、

「注射をすれば坐骨神経痛が必ずなくなる」
「一度注射をすれば長期間その状態が続く」

というものでもありません。

さらに治療効果を予測した研究では、注射後に十分な改善へ至らない患者さんも一定数存在し、特に神経根の圧迫や脊柱管の狭窄が強いケースでは反応が悪くなる可能性が報告されています。

大切なのは、ブロック注射が効かなかったときに、

「もう治らない」
「注射が効かなかったから原因は別の場所にある」

とすぐ結論づけるのではなく、何が坐骨神経痛に影響しているのかを改めて整理することです。

2.腰椎椎間板ヘルニアでブロック注射が効かなかった場合

腰椎椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫状態とブロック注射への反応の違い、ヘルニアが自然に小さくなる経過を示した図

腰椎椎間板ヘルニアでは、神経への圧迫状態などによってブロック注射への反応が異なることがあります。また、注射が効かなかったからといって、ヘルニアが今後変化しないとは限りません。

腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板の一部が後方へ突出・脱出することで神経根が刺激され、お尻から脚にかけて痛みやしびれが現れることがあります。

こうした神経根症に対しては、ブロック注射による短期的な疼痛軽減効果が比較的認められています。多くの研究をまとめた報告でも、腰椎を中心とした神経根症では短期的な疼痛改善が期待できると評価されています。

では、なぜ効かない方がいるのでしょうか。

神経への圧迫の状態によって反応が違う

坐骨神経痛に対する経椎間孔硬膜外ステロイド注射の治療成績を調べた研究では、神経根への圧迫が軽いケースほど治療成績がよい傾向が報告されています。

逆に考えれば、ヘルニアによる圧迫が非常に強い場合には、炎症を抑えることだけでは症状が十分に変化しない可能性があります。ただし、ここでも「ヘルニアが大きいから絶対に効かない」訳ではありません。

腰椎椎間板ヘルニアには自然に小さくなるものもあります。

2023年の報告では、保存療法中に画像上のヘルニアが自然退縮する確率は、その形態によって大きく異なり、遊離したタイプや脱出したタイプほど自然退縮しやすい傾向が示されています。

さらに2024年の報告では、保存療法を受けた2,233人をまとめると、椎間板ヘルニアの自然吸収は全体で約70%に認められ、特に脱出・遊離型で高い割合でした。

ただしこれは「整体でヘルニアを元に戻せる」という意味ではありません。ヘルニアそのものには自然経過があり、症状の変化も画像だけでは説明できない部分があるということです。

そのため、ブロック注射が効かなかったからといって、すぐに「もう改善しない」と考える必要はありません。

痛みに悩む方からすれば「1秒でも早く何とかしたい」と思うと思いますが、そもそもが難しい症状ですし、それなりの経過を要するものになります。

3.脊柱管狭窄症でブロック注射が効かなかった場合

腰部脊柱管狭窄症で歩くと脚が痛む状態と脊柱管の狭窄、ブロック注射で狭窄そのものが元に戻るわけではないことを示した図

腰部脊柱管狭窄症では、ブロック注射で炎症や痛みを抑えても、狭くなった脊柱管そのものを元に戻しているわけではありません。狭窄の程度によっては症状が十分に変わらないこともあります。

腰部脊柱管狭窄症では少し事情が異なります。

脊柱管や神経の通り道が狭くなり、立っている時間が長くなると脚が痛む、歩いているうちにしびれや重さが増して休みたくなる、といった症状がみられることがあります。

そして、脊柱管狭窄症では、ブロック注射の「痛みを減らす効果」は神経根症ほどはっきりしていません。

これまでの研究をまとめた報告では、腰部脊柱管狭窄症に対する硬膜外ステロイド注射について、短期的・長期的な機能障害を改善する可能性はあるものの、短期的な痛みそのものについては明確な改善が認められず、長期的な疼痛改善についても十分な証拠がありませんでした。

そのため、「脊柱管狭窄症でブロック注射を受けたけれど脚の痛みがあまり変わらなかった」という経過は、必ずしも不思議なことではありません。

狭窄が強いほど注射だけでは変わりにくい可能性

さらに、ブロック注射の効果を予測した研究では、重度の脊柱管狭窄がある人よりも軽度の狭窄がある人の方が治療に反応しやすい傾向が報告されています。

神経周囲に強い構造的な狭窄がある場合、薬によって炎症を抑えたとしても、神経が置かれている環境そのものを注射で変えているわけではないためです。そしてこれは整体についても同じです。

当院で行う施術によって、狭くなった脊柱管そのものを元の広さに戻しているわけで、骨の変形や脊柱管の構造を手で広げているわけでもありません。

この点を曖昧にせず理解していただいた上で、それでも身体機能という別の部分から症状を見直す意味があります。それは上述した神経が置かれている環境にあります。

症状が出る体勢では、そのほかの体勢より腰部脊柱管が圧迫されている環境にあり、体の歪みを整えることで症状が出る体勢でも圧迫が強くならないように体のバランスを変えていくという目的で施術を行っていっます。

4.MRIでヘルニアや狭窄があると痛みの原因はすべてそこ?

坐骨神経痛ではMRIによるヘルニアや脊柱管狭窄の確認に加え、関節の動きや筋力、姿勢、歩き方など身体機能の評価も大切であることを示した図

MRIはヘルニアや脊柱管の狭さを確認する大切な検査ですが、画像上の状態と痛みや歩きにくさが完全に一致するとは限りません。実際の身体機能も併せて確認することが大切です。

「MRIで神経が圧迫されているのだから、それが全部の原因なのでは?」そう思われるかもしれません。もちろん、ヘルニアや狭窄による神経への刺激は重要です。

しかし、MRIで確認される構造的な変化と、本人が感じる痛み・動きにくさ・歩ける距離は完全には一致しません。

近年の研究をまとめた報告では、腰椎の神経の通り道が狭くなっている程度と痛みにはある程度の関連がみられたものの、機能障害や歩行能力との関連は弱く、MRIだけでは症状の重さを十分に説明できないとまとめられています。

これは、「MRIは意味がない」ということではなく、MRIは神経の圧迫状態、ヘルニア、狭窄などを確認する非常に重要な検査です。ただし、画像を見ることと、実際に身体がどう動いているかを見ることは別の評価だということです。

たとえば同じ程度の脊柱管狭窄があったとしても、ある方は長く歩けるのに、別の方は数分歩いただけで脚がつらくなることがあります。

だからこそ当院では、病院での診断を否定するのではなく、その診断を踏まえた上で、腰や股関節がどの程度動いているのか、左右で身体の使い方が違っていないか、立ったときにどこへ体重をかけているのか、歩くときに一部分へ負担が集中していないか、といった「身体機能」も一緒に確認していくことが大切だと考えています。

5.坐骨神経痛と「身体の歪み」は本当に関係する?

坐骨神経痛で考える身体の歪みを、骨のずれではなく関節の動き、体重のかけ方、姿勢、歩き方など身体の使い方の偏りとして示した図

当院でいう「身体の歪み」は、骨が大きくずれているという意味ではありません。関節の動きや体重のかけ方、姿勢、歩き方など、身体の使い方の偏りも含めて確認します。

ここで当院でよくお伝えする「身体の歪み」という視点について説明します。

まず、ブロック注射が効かなかった原因が身体の歪みだった、と決めつけることはできません。「身体の歪み」という言葉自体も医学的に統一された一つの診断名ではありません。

当院でいう身体の歪みとは、骨が物理的に大きくずれているという意味ではなく、関節の動きに左右差がある、片側へ体重をかけやすい、股関節が十分に動かず腰が代わりに動いている、歩くときに片脚へ負担が集中しているなど、身体の使い方や動きの偏りを含めた表現です。

痛む場所と負担がかかっている場所は同じとは限らない

たとえば右脚に坐骨神経痛がある方が、必ず右側だけに問題を抱えているとは限りません。

左股関節が十分に動かないことで右脚へ体重をかける時間が増えている場合もあれば、背中や骨盤周囲の動きが少ないため腰椎周囲に負担が集中している場合もあります。

こうした身体機能の違いはMRIだけでは分かりません。

だからといって、「その歪みこそが坐骨神経痛の本当の原因です」という話でもありません。ヘルニアや狭窄という構造的な要因に加えて、身体の動きや負担のかかり方も症状に影響している可能性があるため、両方を見る必要があるという考え方です。

この区別は非常に大切です。

6.ヘルニアや狭窄が残っていても整体や運動で軽くなる人がいる理由

腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が残っていても、整体や運動で関節の動きや筋力、歩き方を整えることで症状が軽くなる人がいることを示した図

整体でヘルニアを押し戻したり、狭くなった脊柱管を広げたりするわけではありません。それでも身体機能を整えることで、歩きやすさや症状が変化する人はいます。

では、脊柱管の狭窄やヘルニアが残っているのに、なぜ施術や運動によって症状が軽くなる方がいるのでしょうか。

一つのヒントになるのが、腰部脊柱管狭窄症に対する保存療法の研究です。2019年に259人を対象として行われたランダム化比較試験では、医療的ケア、グループ運動、徒手療法と個別運動を組み合わせた治療が比較されました。

その結果、徒手療法と個別運動を組み合わせたグループでは、2か月後に症状・身体機能・歩行能力で良好な反応を示した人の割合が高く、特に歩行能力が30%以上改善した人は65.3%でした。ただし6か月後にはグループ間の差は認められなくなっています。

ここで重要なのは、この研究が脊柱管そのものを広げた研究ではないということです。

行われたのは、腰部や股関節への徒手療法、ストレッチ、筋力トレーニング、神経モビライゼーション、安定化運動などでした。

つまり、構造的な狭窄を取り除かなくても、身体機能を改善することで歩きやすさや症状が変わる人がいることを示しています。腰椎椎間板ヘルニアについても同じような考え方ができます。

2025年の系統的レビューでは、腰椎椎間板ヘルニアに対する運動療法について、痛みや機能障害などの改善が報告されています。

さらに、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根痛に対する保存療法をまとめた2025年の報告でも、比較的質の高い研究のうち複数で理学療法が下肢の神経根痛を軽減する方向の結果を示しています。ただし研究数や質には限界があり、「この方法なら誰でも改善する」と言える段階ではありません。

そのため当院でも、

「整体でヘルニアを引っ込めます」
「整体で脊柱管を広げます」

とは考えていません。

そうではなく、動きにくくなっている股関節や腰、身体の使い方、筋力、歩き方などを確認し、現在の身体でできるだけ負担が集中しにくい状態をつくっていくことを目的とします。

実際にそのような部分を見直すことで、「立っていられる時間が長くなった」「以前より歩けるようになった」「お尻から脚にかけての痛みが軽くなった」という方はいらっしゃいます。

ただし、これはヘルニアや狭窄そのものが元通りになったことを意味するものではありません。

7.ブロック注射が効かなかったとき、整体を受ける前に確認してほしいこと

坐骨神経痛でブロック注射が効かなかった後に、医療機関で再評価すべき症状と整体で確認する身体機能を分けて示した判断フロー図

ブロック注射後も坐骨神経痛が残る場合は、まず医療機関で再評価すべき状態かを確認することが大切です。すぐ手術ではない場合には、関節の動きや筋力、姿勢、歩き方など身体機能を確認する視点もあります。

坐骨神経痛でブロック注射をしたけれど十分に効かなかった。そのようなときに、「次は整体しかない」と考える必要もありません。まず大切なのは、現在の症状が整体を検討できる状態なのか、それとも病院で再評価した方がよい状態なのかを分けることです。

腰椎椎間板ヘルニアでは、重い神経障害がなければ、すぐに手術をするのではなく、まず保存療法で経過を見ることが一般的です。一方で、排尿や排便の異常、足の筋力低下が進んでいるなど、神経の障害が強く疑われる場合には医療機関での早めの評価が必要です。

特に、以前より足に力が入りにくくなっている、つまずきが急に増えた、足首や足の指が持ち上げにくい、排尿・排便の異常が出ている、股の間の感覚がおかしいなどの変化がある場合には、整体を優先せず医療機関へ相談してください。

「注射が効かなかった後に何を見るか」という新しい視点

一方、病院で検査を受け、

「すぐに手術をする状態ではない」
「経過を見ましょう」

と言われているものの、痛みやしびれ、歩きにくさが残っている場合には、身体機能を確認してみる価値があります。

ブロック注射が効かなかったという結果だけから、「もう良くならない」と考える必要はありません。同時に、「注射が効かなかったのは身体が歪んでいるから」と決めつける必要もありません。

ヘルニアや脊柱管狭窄という構造的な問題、神経への圧迫状態、炎症、症状の経過、そして股関節や腰の動き、筋力、姿勢、歩き方といった身体機能。これらを分けて考えることが大切です。

当院では、病院で診断されたヘルニアや脊柱管狭窄症を否定するのではなく、病院で確認する「構造」と、整体で確認する「身体機能」を分けて考えます。

狭くなった脊柱管そのものを整体で広げたり、強く飛び出したヘルニアを手で元に戻したりすることはできません。その一方で、構造的な変化が残っていても、身体の動きや負担のかかり方を見直すことで症状が軽くなる方がいることも、非手術療法の研究から示されています。

坐骨神経痛でブロック注射を受けたけれど思うように変わらず、「このまま付き合うしかないのだろうか」「まだ手術ではないと言われたけれど、何をしたらよいか分からない」と悩んでいる方は、画像上の診断だけでなく、今の身体がどのように動いているのかという視点から一度確認してみてください。

しかし、これらの問題を確認して施術をするとなっても、上述したようにそもそもが難しい症状です。数回施術を続けて変化があるか判断するのではなく、1か月~3か月の範囲で経過を要する場合も非常に多いです。

時間は要するものですが、今すぐ痛みが消えないと生活に支障が出るという場合以外は一度整体での候補に入れてみてはいかがでしょうか?

ここまで読まれて気になる方、もしかしたらと思う節がある方は一度当院へご相談ください!

執筆者

  • 慢性症状専門の整体師 河野貴彦
  • 柔道整復師免許証

慢性症状専門の整体師 河野貴彦

東京・神奈川・大分で7年間整骨院にて研修して、延べ23755人の施術実績。研修時代から慢性症状の改善に力を注ぎ、整形外科や整骨院に通っても症状の改善しない方の力になりたいという思いから大分駅前整体院を立ち上げる。

経歴
2012年3月 日体柔整専門学校 卒業
2012年4月 柔道整復師免許 取得
2018年4月 大分駅前整体院 開業